菅井六段が升田幸三賞ほか受賞



カテゴリー: 将棋 | 投稿日: | 投稿者:

この投稿文を書いている時点では日本将棋連盟公式サイトには情報がないのですが、各種報道によると菅井六段が勝率1位賞、最多勝利賞、そして升田幸三賞を受賞したそうです。
山陽新聞リンク
菅井竜也六段(岡山市)に3賞 東京で将棋大賞選考委:山陽新聞デジタル|さんデジ

勝率1位賞、最多勝利賞は連盟公式サイトの記録欄を見て確実視していましたが、升田幸三賞の受賞には正直驚きました。升田九段は「新手一生」の言葉を遺し、当時のプロが奇襲戦法として見向きもしなかった急戦早石田戦法に独自の改良を加えて大山名人との名人戦に採用し、「升田式石田流」と命名されるなど、数々の序盤戦術の独創性で知られています。1995年、升田九段の功績を讃えるために「升田幸三賞」が創設され、新手や妙手を指した人・新定跡を編み出した人等に毎年贈られています。
「菅井流」と呼ばれている指し方は数多く、私は全部把握できていません。奨励会時代ですでに相振飛車で「菅井流」とプロ間で認知されている指し方があったそうですし、ゴキゲン中飛車対超速における△4四歩、相振飛車で△3六歩と早めに打ったあとに銀が早期に進出して矢倉の構えを阻止する指し方、四手目△3二飛、中飛車左穴熊における工夫などなど。また、菅井六段初の著作本「菅井ノート」は当時の序盤の最新変化が惜しみなく記述され、プロ棋士間でも大きな話題となったようです。定跡書の多くは過去の一流棋士の公式戦の棋譜をもとにした手順が書かれていて、知っている人には「ああ、あれか」となります。しかし菅井ノートには公式戦で現れていない変化が山のように書いてあって、「ここまで書いていいのか」と感じた棋士も多くいたらしいと聞いています。
升田九段は「升田式石田流」だけではありません。序盤に細かな工夫を施した棋譜を数多く残しています。菅井六段もまたしかり。その意味で升田幸三賞受賞にふさわしい棋士であることに、私は受賞の報を聞いて初めて気がつきました(鈍感)。おめでとう、菅井六段。

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