昨日2月28日、「電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!」という企画をニコニコ動画で中継していました。電王AWAKEとは昨年11月に行われた「第2回将棋電王トーナメント」で昨年の覇者ponazaに勝って優勝した最強将棋ソフトです。ponanzaといえば昨年の電王戦で屋敷九段に勝ったソフトです。その後も各ソフトはバージョンアップを続けものすごく強くなっているらしいのですが、そのponanzaに勝ったのがAWAKEです。
ノートPCにインストールされた電王AWAKEにアマが挑戦し勝てば100万円というこの企画。昨年は切れ負けルールが厳しすぎて誰も勝てず、今年は持ち時間10分切れたら1手10秒以内と変更になりました。このルールでも人間には厳しいという前評判でした。
私はずっと中継を見ていました。全国優勝複数回経験者や元奨励会三段が次々と挑むも、さっぱり勝てません。「今年ももうダメか・・・」と諦めていたところに山口直哉さん(NEC将棋部、元アマ王将)が登場。過去の菅井杯将棋大会に参加してくださったこともある山口さんは、対コンピュータ用に編み出した作戦を披露しました。
先手山口直哉さん
後手電王AWAKE
▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 △6二銀
▲4八玉 △8四歩 ▲1六歩 △4二玉
▲1五歩 △3二玉 ▲2二角成 △同 玉
▲8八銀 △1二香 ▲7七銀 △1一玉(第1図)
ここまでは普通の出だしです。細かい点としては、▲1五歩と突き越すのがひとつのポイントです。確実に突き越すために、角交換のタイミングをずらしているようです。また、わざと後手に穴熊に組みやすくさせることで、作戦がはまったときの玉頭からの反撃を緩和している意味もあるように思います。さて作戦の第一歩が現れます。
▲2八銀(第2図)
あやしい手が出ました。これは? 指し手を続けましょう。△2二銀 ▲2六歩 △3一金 ▲2七銀(第3図)
ついに出ました、必殺山口システム!「毒まんじゅうシステム」と言ってもよいかもしれません。わかりやすく言うとハメ手です。電王AWAKEは当然のごとく・・・
角を打ち込んできました。ところが・・・
▲1六香 △1九角成 ▲3八玉 △8五歩
▲4八金 △3五歩 ▲5八金上 (第5図)
後手がこのあと何もしなければ▲6九飛▲1七桂で馬を捕獲することができます。さすがに電王AWAKEはこのあたりでまずいことに気がついたようで△3六歩と突き捨てて来ましたが▲同銀。ここで△1八馬と引けば角銀交換で収めることができましたが、なぜか△5一銀なので▲2七銀と引き歩得。以下△2九馬▲同玉△4二銀▲3八玉△3三銀右▲6六歩△4四歩(?)▲4三角△5二金▲6五角成と馬まで作ることに成功し、この後も山口さんは着実な指し手を続けて見事勝利し、賞金100万円をゲットしました。
この作戦を目の当たりにした他の挑戦者たちの多くは以後、こぞってこの作戦を採用。相振り飛車になってしまったり、△2八角を打ってこなかったりでなかなかうまくいかないなか、武田俊平さん(アマ王将、赤旗名人)が挑戦したときは△2八角が再現されました。このとき解説聞き手役の山口恵梨子女流初段は「えぇぇぇぇぇ打ったあぁぁぁぁぁぁ」と絶叫(歓喜?)していてすごく面白かったです。しかし、今度はコンピュータは歩損しない角桂交換(それでも人間大優勢だが)でおさめ、馬もつくらせません。10分切れたら10秒では武田さんの実力を持ってしてもミスせず指し続けることは難しく、勝利には至りませんでした。もう一人、3回目の△2八角が実現しましたが、このときはAWAKEは角銀交換で被害を最小限度に食い止めました。角桂交換と角銀交換とではだいぶ違いますね。ソフト側に学習機能があるのかもしれません。昭和の某アニメでは「教育型コンピュータ」と呼んでいましたが。さて、玉の固さの差も大きくAWAKEが勝って、初日は山口直哉さんの1勝で終わりました。今日もあります「電王AWAKE(ノートPC)に勝てたら100万円!」
まさかコンピューターにアマチュアが勝つとは思わなくて見ていませんでしたがタイムシフトで視聴しました。
面白い引っ掛け問題が有ったんですね。
日ごろの研究の賜物ですが人間が1回勝った以降、ソフトが学習したのかきのうはついに逆用して32飛車周りで勝ってしまいました。
ソフト恐るべし、、
ソフトがどんどん完璧になって行きます。
菅井五段がソフトに勝つところが見たかったですが、、
そろそろ電王戦ですが楽しみです。